AIツール導入の稟議書|書き方とテンプレート(Word 無料)
稟議書に書く項目と書き方のコツ、差し戻されやすい理由をまとめました。後半では、AIツールを導入するときに追加したい確認項目と、架空の会社による記入例を紹介します。テンプレートはこのページからコピーでき、Word 版も無料でダウンロードできます。
稟議書とは
稟議書は、決裁する権限を持つ人に、ある案件の実施を承認してもらうための社内文書です。会議を開かなくても、関係者が順番に内容を確認し、承認の記録を残せます。ソフトウェアの契約や物品の購入など、金額や影響が一定以上の案件で使われます。
どの案件に稟議が必要か、どの項目が必須かは、会社ごとの稟議規程や書式で決まります。自社の規程や書式がある場合は、そちらを優先してください。
稟議書に書く項目
クラウドサービスやAIツールの導入でよく使う項目を、一つの表にまとめました。右の列は、AIツールの場合に書き足したい内容です。
| 項目 | 書く内容 | AIツールの場合 |
|---|---|---|
| 稟議番号・起案日 | 社内の管理番号と作成日 | — |
| 起案部署・起案者 | 部署名は正式名称で書く | 実際に使う部署も書く |
| 件名 | 「〇〇の導入について」「〇〇の件」のように、一目でわかる長さで | 製品名とプランを入れる |
| 申請内容(目的) | 何を、なぜ、いつから行うか | どの業務の、どの手間を減らすか |
| 背景・現状の課題 | いま困っていること | 誰が、週に何回、どれくらい時間を使っているか |
| 導入するツールの概要 | 製品名、提供元、プラン、利用人数 | 公式サイトの URL と確認日 |
| 費用 | 初期費用、月額・年額、ユーザー数 | 税込か税抜かを必ず書く |
| 予算・勘定科目 | 予算の残高、計上する科目 | — |
| 支払先・支払方法 | 支払先、支払日、支払方法 | 契約前に確認した内容を書く |
| 導入効果 | 時間や金額で示す効果と、数字にしにくい効果 | 費用と同じ単位(円/年)で並べる |
| 比較検討 | 他の製品や、導入しない場合との比較 | 料金、学習利用の扱い、連携先で比べる |
| リスクと対策 | 想定されるデメリットと、その対処 | データの扱い(後述の 4 項目) |
| 実施スケジュール | 試用、本導入、評価の時期 | 継続するかを決める評価日を入れる |
| 添付書類 | 見積書、比較表、カタログ | 料金ページとセキュリティページの写し |
| 決裁者の所見 | 空欄にしておく(決裁者が記入) | — |
書き方のコツ
1. 結論を先に書く
件名と申請内容の 1 行目で、何を承認してほしいのかがわかるようにします。依頼の文は「〇〇を導入したく、ご承認をお願いいたします」のように締めます。
2. 効果は数字にして、費用と並べる
「便利になる」だけでは判断できません。「月に何時間減るか」「年に何円分か」を書き、年額の費用と同じ単位で並べます。数字の根拠(誰が、何を、どう測ったか)も添えます。
3. リスクは自分から書く
決裁者が気にしそうな点は、先に書いて対策を添えます。AIツールでは、入力した情報の扱いと、導入しても使われないまま費用だけがかかることの 2 つを、先に書いておくと安心です。
4. 箇条書きで短くまとめる
1 項目は 2〜3 行に収め、詳しい資料は添付に回します。
5. 提出の前に、主な承認者へ説明しておく
いわゆる根回しです。事前に聞かれた質問への答えを稟議書に書いておくと、差し戻しを防ぎやすくなります。
差し戻されやすい理由
差し戻しにつながりやすい書き方です。提出前のチェックにお使いください。
- 目的が「業務効率化のため」だけで、どの業務の何が変わるのかが書かれていない
- 費用の内訳や、税込か税抜かがわからない
- 効果が「便利になる」だけで、数字や測り方がない
- 他の製品や、導入しない場合と比べた形跡がない
- リスクの記載がない。特に、入力するデータの扱いに触れていない
- 誰が使い、誰が管理するのかが決まっていない
- 試用のあと、いつ・何を見て継続を決めるのかが書かれていない
- 見積書や料金表の写しなど、添付書類が足りない
AIツール導入で追加したい確認項目
AIツールは、社内のメールや文書を入力して使うことが多いため、通常のソフトウェアよりもデータの扱いを問われます。個人情報保護委員会は、個人情報を含むプロンプトを生成AIサービスに入力する事業者に対して、利用目的の範囲内であることを確認し、入力した情報を提供事業者が「機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」を求めています(2023年6月2日の注意喚起)。
稟議書の「リスクと対策」には、少なくとも次の 4 項目を書いておくと、決裁者の質問に先回りできます。
データの学習利用
入力した情報や連携した社内データを、提供元が AI モデルの学習に使うかどうか。公式サイトや利用規約の該当する文言をそのまま引用し、URL と確認日を書きます。外部の AI サービスを経由する場合は、その条件も確認します。
アクセス権と管理者
誰が使い、AI が回答に使う情報が利用者の権限の範囲に収まるか。管理者は誰か、退職や異動のときにアカウントをどう止めるかも書きます。
既存ツールとの連携
メール、チャット、ファイル共有などと連携する場合は、連携するツールの名前と、AI が読む範囲、連携の解除方法を書きます。
解約とデータの削除
解約の条件(いつでも解約できるか、最低利用期間はあるか)と、解約後のデータの扱い、削除の依頼先を書きます。第三者認証(ISO/IEC 27001、SOC 2 など)の有無と適用範囲も、ここで触れておくと安心です。
記入例:チーム向けAIエージェントを 5 名で導入する
架空の会社「みなと業務サポート株式会社(18名)」が、営業と制作の 5 名で TANKA の Pro プランを導入する場合の記入例です。料金は TANKA 公式サイトの通常価格(2026年10月17日確認)で計算しています。効果の欄は、この会社が自分で測る項目として書いており、TANKA が効果を約束するものではありません。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 稟議番号・起案日 | 営-2026-014/2026年10月21日 |
| 起案部署・起案者 | 営業部 佐藤(営業リーダー) |
| 件名 | チーム向けAIエージェント「TANKA」Pro プラン導入の件 |
| 申請内容 | 営業部・制作部の 5 名で、チーム向けAIエージェント「TANKA」の Pro プランを導入したく、ご承認をお願いいたします。 |
| 背景・課題 | ・見積や提案のたびに、料金表や過去の条件を探し、AI にも前提を説明し直している ・会議や打ち合わせで決まったことを、メンバーが個別に確認し合っている ・個人で生成AIを使うメンバーはいるが、会社として契約したツールも、入力してよい情報のルールもない |
| 導入するツール | 製品名:TANKA(チーム向けAIエージェント) 提供元の公式サイト:https://jp.tanka.ai/ プラン:Pro(毎月のクレジット:AIタスク実行 50,000、チームメモリ保存 10,000) 利用人数:5 名(営業 3 名、制作 2 名) 最初に連携するツール:Gmail、Slack |
| 費用 | 月額:Pro 3,500円(税込・1 名あたり)× 5 名 = 17,500円 年額:210,000円(税込・試算) 初期費用:料金ページに記載なし(契約前に確認) 根拠:公式サイトの料金ページ(Pro ¥3,500/月、「※表示価格はすべて税込です。」)と Founding 100 の募集条件(「月額3,500円/席(税込)」)。金額は見積書で確認し、本欄を差し替える |
| 予算・勘定科目 | 営業部 IT ツール予算(残高 __円)/通信費(経理の指定に従う) |
| 支払先・支払方法 | 契約手続きのときに確認し、追記する |
| 導入効果と評価方法 | 費用回収の目安:年額 210,000円(上記の試算額)÷ 人件費単価 3,000円/時(当社の試算単価)= 年 70 時間。5 名で 1 人あたり年 14 時間(月 約 1.2 時間)減れば、費用と同じになる 測る項目:①見積・提案のときに過去の条件を探す時間 ②決定事項を確認し合うやり取りの回数 測り方:導入前の 2 週間と、導入後 2〜3 か月目の 2 週間に、各自が同じ項目を記録する 評価日:2027年1月29日(継続か停止かを判断) |
| 比較検討 | ・導入しない(個人の生成AI利用のみ):費用はかからないが、入力のルールと管理がない ・他の法人向け生成AI:料金、学習利用の扱い、連携先の 3 点で比較表を作成(添付) |
| リスクと対策 | 学習利用:公式サイトのセキュリティページに「お客様のコンテンツを、出力を生成する当社のモデルの学習・再学習・改善に使用しません。」と記載(第三者の AI サービスには、そのサービスの利用条件が適用される旨の記載あり)。利用規約を添付 アクセス権:公式サイトに「アクセス権のある情報をもとに回答します。」と記載。管理者は佐藤。退職・異動の日にアカウントを停止する 社外への送信:公式サイトに「送信など相手に影響する操作は、確認してから実行します。」と記載。社外へのメールは担当者が確認してから送る運用にする 連携:Gmail と Slack の 2 つから始め、試用中に読み取る範囲と解除方法を確認する 解約:料金ページに「プランの変更・解約はいつでも可能です。」と記載。契約終了後のデータの扱いはデータ処理契約(DPA)を確認する 認証:ISO/IEC 27001:2022 の認証取得、SOC 2 Type II 監査の完了を公式サイトで確認(適用範囲は問い合わせ) 定着:評価日に、使われていなければ停止する |
| スケジュール | 10月下旬:無料プランで試用(連携 1 つ) 11月上旬:Pro プランで本導入(5 名) 2027年1月29日:評価 |
| 添付書類 | 見積書/料金ページの写し/セキュリティページの写し/利用規約・DPA/他製品との比較表/生成AI 社内利用ルール(案) |
| 決裁者の所見 | __ |
テンプレート(コピーして使えます)
項目は自社の書式に合わせて増減してください。空欄は「__」で示しています。
テンプレート本文
稟議書
稟議番号:__ 起案日:__年__月__日
起案部署:__ 起案者:__
決裁者:__
件名
__(製品名・プラン)導入の件
1. 申請内容
__を導入したく、ご承認をお願いいたします。
2. 背景・現状の課題
・__
・__
3. 導入するツール
製品名:__
提供元:__(公式サイト:__)
プラン:__
利用人数・利用部署:__名(__)
連携するツール:__
4. 費用(税込・税抜を明記)
初期費用:__円
月額:__円 × __名 = __円
年額:__円
予算残高:__円 勘定科目:__
支払先・支払方法:__
5. 導入効果と評価方法
費用回収の目安:年額 __円 ÷ 人件費単価 __円/時 = 年 __時間
測る項目:__
測り方:__
評価日:__年__月__日(継続・停止を判断)
6. 比較検討
・導入しない場合:__
・他の製品(__):__
7. リスクと対策(AIツールの確認項目)
・データの学習利用:__(確認した文言・URL・確認日)
・アクセス権と管理者:__
・既存ツールとの連携範囲:__
・解約とデータの削除:__
・第三者認証・セキュリティ資料:__
・社内の生成AI利用ルールとの関係:__
8. スケジュール
試用:__ 本導入:__ 評価:__
9. 添付書類
見積書/料金ページの写し/比較表/__
10. 備考
__
決裁者の所見
__
本テンプレートは参考例です。自社の規程・法令に合わせて調整してください。
表の形式に整えた Word 版(A4)は、メールアドレスのご入力後すぐにダウンロードできます。
Word 版(無料)
テンプレートを Word でダウンロード
稟議書・議事録・社内利用ルールのテンプレートを、Word 形式でお使いいただけます。メールアドレスを入力すると、この場でダウンロードできます。
ダウンロードの準備ができました。
下のリンクから、Word 版を保存してください。
ご入力のメールアドレス:

TANKA の場合
TANKA の導入を稟議にかける場合、よく確認される点は、公式サイトに次のように掲載されています(2026年10月17日確認)。
- 料金:Free ¥0、Pro ¥3,500/月、Max ¥17,400/月、Super ¥35,000/月。「※表示価格はすべて税込です。」
- 契約の単位:Pro は 1 名ごとの月額です(Founding 100 の募集条件「月額3,500円/席(税込)」)。
- プランの違い:「どのプランでも、すべての機能をご利用いただけます。プランごとの違いは、毎月付与されるクレジット数のみです。」
- 解約:「プランの変更・解約はいつでも可能です。」
- 学習利用:「お客様のコンテンツを、出力を生成する当社のモデルの学習・再学習・改善に使用しません。」第三者の AI サービスには、該当するサービスの利用条件が適用されます。
- 認証:ISO/IEC 27001:2022 の認証を取得し、SOC 2 Type II 監査を完了しています。適用範囲や資料はお問い合わせください。
- 企業での購入:料金ページに「企業・全社導入のご相談」として「請求書払い、セキュリティチェック、導入支援など、企業でのご導入に必要な要件に合わせてご案内します。」とあります。
稟議そのものについては、公式サイトの活用シーンで「軽量な稟議・承認」として「チャットの文脈のまま起案し、決裁サマリーを作成。記録として残せます。」と紹介しています。詳しくは 料金 と セキュリティ のページをご覧ください。
よくある質問
AIツールの稟議書には、何を添付すればよいですか。
見積書(利用人数と、税込・税抜の別がわかる金額)、公式サイトの料金ページとセキュリティページの写し(確認日を記入)、利用規約、他の選択肢との比較表の 4 点が基本です。社内の生成AI利用ルールがあれば一緒に添付します。ルールがない場合は 社内利用ルールのテンプレート もご覧ください。
導入効果を数字で書けないときは、どうすればよいですか。
費用を回収するのに必要な時間を逆算して書きます。「年額 ÷ 1 時間あたりの人件費」で、年に何時間減れば費用と同じになるかが出ます。そのうえで、試用期間に測る項目と評価日を書き、見込みの数字を断定しない形にします。
無料プランや試用で始める場合も、稟議は必要ですか。
会社の稟議規程によります。費用がかからなくても、社内のメールや文書を外部のサービスに入力するなら、上長や情報システム担当の承認を求める会社もあります。申請が必要な場合を、社内の生成AI利用ルールで決めておくと迷いません。
補助金を使う予定がある場合、稟議書には何を書けばよいですか。
補助金の名称、申請の予定時期、採択されなかった場合の扱いを書きます。中小企業庁の「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧:IT導入補助金)は、クラウド利用料(最大2年分)も補助の対象に含めています。対象となるツールや要件は、公募要領で確認してください。
関連ページ
出典
- freee「稟議書とは?書き方やテンプレート、承認を得るためのポイントを紹介」(最終更新日 2026年9月17日) https://www.freee.co.jp/kb/kb-expenses/approval-document/(確認日:2026年10月17日)
- マネーフォワード クラウド「稟議書とは?書き方・目的別の例文、無料テンプレート」(更新日 2026年1月27日) https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/66378/(確認日:2026年10月17日)
- マネーフォワード クラウド「購入の稟議書の書き方は?テンプレートや例文でポイントが分かる!」(更新日 2026年4月22日) https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/78220/(確認日:2026年10月17日)
- ジョブカン会計「稟議書とは?決裁される書き方や申請の流れをわかりやすく解説」 https://ac.jobcan.ne.jp/knowledge/30091/(確認日:2026年10月17日)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日) https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/(確認日:2026年10月17日)
- 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026」の概要(令和8年4月) https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r8/digital_ai_summary.pdf(確認日:2026年10月17日)
- TANKA 公式サイト https://jp.tanka.ai/price、https://jp.tanka.ai/security、https://jp.tanka.ai/memory、https://jp.tanka.ai/usecases(確認日:2026年10月17日)
- TANKA Founding 100 応募ページ(応募条件) https://lpjp.tanka.ai/japan-launch/founding100(確認日:2026年10月18日)






