生成AIの情報漏洩が心配な会社へ|導入前に確認したい7項目

生成AIを仕事で使う前に、「入力した社内の情報は、どう扱われるのか」を確かめておきましょう。この記事では、サービスの提供元に確認したい7つの項目を、そのまま使える質問例つきでまとめました。個人情報保護委員会の注意喚起と、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」の利用者向けの項目を参考にしています。

更新日:公開日:TANKA Japan 編集部監修:William Wang(TANKA Japan 代表)

書類の前に大きな盾と鍵のマークが浮かび、AIアシスタントが手を添えているイラスト
イラストはイメージです。

この記事のポイント

  1. 「学習に使わない」は大事な確認項目ですが、それだけで情報漏洩の心配がなくなるわけではありません。
  2. 保存、共有範囲、外部のAIサービス、認証、社内ルール、個人情報まで、7つの項目で確かめます。
  3. 公式ページで確かめられることと、問い合わせが必要なことを分けて記録すると、稟議や社内説明にそのまま使えます。

ChatGPTなど生成AIの情報漏洩で、何が心配なのか

「情報漏洩」とひとことで言っても、心配の中身はいくつかに分かれます。

  1. 学習に使われる:入力した内容がAIモデルの学習に使われ、ほかの利用者への回答に出てしまう。個人情報保護委員会は、一般の利用者に向けた留意点として、入力した個人情報が機械学習に利用され、出力される可能性を挙げています [1]。
  2. 保存先から漏れる:学習に使われなくても、入力した内容やつないだツールのデータは、サービス側に保存される場合があります。
  3. 社内で見えすぎる:AIが社内の資料やメールを参照する場合、本来は見られない人にも、回答を通じて内容が伝わってしまう。
  4. 会社が把握していないAIに入る:社員が個人のアカウントや、会社が確認していないサービスに、業務の情報を入力する。いわゆる「シャドーAI」です。IPA の中核人材育成プログラム(第9期生)がまとめた手引書でも、「シャドーAIへの対応方針」を扱っています [4]。

「生成AIに学習させない」設定や方針は、このうち1への対策です。2〜4には、それぞれ別の確認が必要です。

確認したい7項目の一覧

# 確認項目 主に防ぎたいこと
1 入力データの学習利用 入力した内容が、ほかの利用者への回答に出る
2 保存と暗号化 保存されたデータが外部に漏れる
3 アクセス権と共有範囲 社内で、見るべきでない人に見える
4 第三者AIサービスの扱い 提供元の外にデータが渡り、別の条件で扱われる
5 認証・監査 提供元の運用体制を、自社で確かめきれない
6 社内ルール 社員が判断に迷い、使い方が人によってばらばらになる
7 個人情報の扱い 個人情報保護法に沿わない使い方になる

導入前に確認したい7項目

各項目について「なぜ大事か」「何を確認するか(質問例)」の順にまとめます。TANKA の公開情報は、最後の「TANKA の場合」に一覧にしました。

1. 入力データの学習利用

なぜ大事か

入力した内容がモデルの学習に使われると、ほかの利用者への出力に含まれるおそれがあります [1]。個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者に向けて、提供元が入力された個人データを「機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」を求めています [1]。

法人向けプランでは、各社が学習利用の方針を公開しています。たとえば ChatGPT Business の料金ページには「デフォルトではビジネスデータを学習に使用しません」とあります [9]。各社の記載は「法人向け生成AIの比較」にまとめています。

何を確認するか(質問例)

  • 入力した内容や、つないだツールのデータを、AIモデルの学習に使いますか。
  • 「学習に使わない」の対象は、どのモデルですか。自社のモデルだけですか、外部のAIサービスも含みますか。
  • それは初期設定ですか。設定や契約によって扱いが変わることはありますか。
  • 利用規約やプライバシーポリシーの、どこに書かれていますか。

2. 保存と暗号化

なぜ大事か

学習に使われなくても、入力した内容やつないだツールのデータは、サービス側に保存される場合があります。保存中と通信中にどう守られているか、どこに保存されるか、使わなくなったときに消せるかを確かめます。

何を確認するか(質問例)

  • 保存時と通信時に、どの方式で暗号化していますか。
  • どのクラウド基盤を使い、データはどの地域に保存されますか。
  • ほかの顧客のデータと、どのように分けて管理していますか。
  • 契約の終了後や、削除を依頼したとき、データはどう扱われますか。

3. アクセス権と共有範囲

なぜ大事か

社内での情報の広がりも、情報漏洩の一つです。AIが社内の資料やメールを参照して答える場合、本来その情報を見られない人にも、回答を通じて内容が伝わるおそれがあります。チームでAIを使うほど、「誰が、何を見られるか」の設計が大事になります。

何を確認するか(質問例)

  • AIの回答は、質問した人のアクセス権の範囲の情報に限られますか。
  • 個人の会話や下書きは、ほかのメンバーに共有されますか。共有の範囲は誰が決めますか。
  • メンバーの追加や削除、権限の変更は、どこで管理しますか。
  • AIがメールの送信など外部への操作をする場合、実行の前に人が確認できますか。

4. 第三者AIサービスの扱い

なぜ大事か

AIサービスの中には、外部のAIモデルや他社のサービスを組み合わせて動くものがあります。その場合、提供元の方針だけでなく、データが渡る先の条件も関係します。

外部の委託先との取り決めを公開しているサービスもあります。たとえば Notion は「Notionは、AIサブプロセッサーと契約を締結し、ユーザーデータをモデルの学習に使用することを禁止しています。」と説明しています [10]。こうした記載があるかどうかも、確認の材料になります。

何を確認するか(質問例)

  • どの外部AIサービスやモデルを使っていますか。委託先(サブプロセッサー)の一覧はありますか。
  • 外部のサービスに送られるのは、どの範囲のデータですか。
  • 外部のサービス側での学習利用や保存期間は、どう定められていますか。
  • 使う外部サービスが変わるとき、利用者に知らせますか。

5. 認証・監査

なぜ大事か

提供元の運用体制を、利用者がすべて自分で確かめることはできません。第三者による認証や監査の結果は、その判断材料になります。認証には対象となる範囲があるため、適用範囲もあわせて確認します。

何を確認するか(質問例)

  • ISO/IEC 27001 や SOC 2 などの認証・監査を受けていますか。対象のサービスと範囲はどこまでですか。
  • 認証書や監査報告書は、どのような条件で見られますか。
  • ログインの方法(シングルサインオン、多要素認証など)は選べますか。
  • 管理者は、利用状況や操作の記録を確認できますか。

6. 社内ルール

なぜ大事か

ツール側の対策だけでは、すべては防げません。何を入力してよいか、どのサービスを使ってよいか、出力を誰が確かめるか。使う人の判断に任せると、使い方が人によってばらばらになります。

総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、第5部「AI 利用者に関する事項」で、「安全を考慮した適正利用」「個人情報の不適切入力及びプライバシー侵害への対策」「セキュリティ対策の実施」「提供された文書の活用及び規約の遵守」などの項目を挙げています [2]。

規程を一から作るより、いまある情報セキュリティの規程に生成AIの項目を足すほうが、運用しやすい場合もあります。IPA の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版には、付録として「情報セキュリティ関連規程(サンプル)」があります [3]。

何を確認するか(社内で決めること)

  • 入力してよい情報と、入力してはいけない情報は何か。
  • 業務で使ってよいAIサービスはどれか。個人のアカウントでの利用はどう扱うか。
  • AIの出力を、誰が確かめてから社外に出すか。
  • 迷ったときの相談先はどこか。

社内ルールのひな形は「生成AI 社内利用ルールのテンプレート」で紹介しています。

7. 個人情報の扱い

なぜ大事か

顧客や従業員の個人情報をAIに入力する場合は、個人情報保護法との関係を確かめます。個人情報保護委員会は、2023年6月2日の注意喚起で、個人情報取扱事業者に向けて次の点を挙げています [1]。

  • 個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、特定された利用目的の範囲内であること。
  • 本人の同意なく個人データを入力し、それが応答の生成以外に使われる場合は、法に違反するおそれがあること。そのため、提供元が機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること。

一般の利用者に向けては、出力に不正確な個人情報が含まれる可能性や、利用規約とプライバシーポリシーを確認することも挙げています [1]。AI事業者ガイドライン(第1.2版)でも、利用者向けの項目に「個人情報の不適切入力及びプライバシー侵害への対策」があります [2]。法改正の状況など最新の情報は、個人情報保護委員会のサイトで確認してください。

何を確認するか(質問例)

  • 個人情報を入力する業務はどれですか(顧客対応、採用、労務など)。それは利用目的の範囲内ですか。
  • 提供元は、入力された個人データを学習に使いませんか。
  • 個人データの削除や訂正を求めるときの窓口は、どこですか。
  • 利用規約とプライバシーポリシーは、どこで確認できますか。

TANKA の場合

TANKA は、チームのやり取りと決定を覚え、誰が何を担当しているかを理解し、日々の仕事を進めるAIエージェントです。7項目に関わる公開情報を、公式サイトの原文で一覧にしました。「問い合わせで確認したいこと」は、公式サイトに記載がない、または問い合わせを案内している点です。

確認項目 TANKA の公開情報(原文) 問い合わせで確認したいこと
1. 入力データの学習利用 「お客様のコンテンツを、出力を生成する当社のモデルの学習・再学習・改善に使用しません。」[5] よくある質問では「利用規約第4.2条では、お客様のコンテンツを、出力を生成する当社のモデルの学習・再学習・改善に使用しないと定めています。サービス提供のための処理とは区別されます。」[6] また「「覚えている」と、「学習に使う」は、違うこと。」と説明しています [5]。 使われる第三者AIサービス側での扱い(項目4)
2. 保存と暗号化 「AWSのクラウド基盤を利用しています。データの保護には、暗号化やアクセス管理など、複数のセキュリティ対策を組み合わせています。」[6] 「公開セキュリティ白書では、保存データをAES-256で保護し、クライアントの構成が対応する場合、通信にTLS 1.2以上などを使用すると説明しています。」「白書では、共有インフラ内でお客様ごとのデータを論理的に分離すると説明しています。専用サーバーや物理的な隔離を意味するものではありません。」[5] データの保存地域(セキュリティページに記載なし)
3. アクセス権と共有範囲 「アクセス権のある情報をもとに回答します。」「送信など相手に影響する操作は、確認してから実行します。」[8] データの論理的な分離の説明は「お客様の組織内におけるメンバー間の閲覧権限とは別のものです。」[6] 共有範囲の設定方法
4. 第三者AIサービスの扱い 「利用規約第3.2条では、第三者のAIサービスを利用することと、該当するサービスに第三者の利用条件が適用されることを説明しています。」[6] 使われるサービスと、その利用条件
5. 認証・監査 「情報セキュリティマネジメントシステムが、国際規格 ISO/IEC 27001:2022 の認証を取得しています。」「独立した第三者による SOC 2 Type II 監査を完了し、データ保護と運用の透明性を証明しています。」[7] 「認証・監査の取得状況はTANKA日本公式サイトの公表内容に基づきます。適用範囲や資料についてはお問い合わせください。」[5] 認証の適用範囲と資料、ログイン方法、操作の記録
6. 社内ルール —(社内で決める項目) —
7. 個人情報の扱い 「個人データの削除請求は、プライバシーポリシーに従い、[email protected]で受け付けています。本人確認が必要です。契約終了後のユーザーデータの削除はDPA第7条に定められていますが、一部のアカウントデータは法令に従って保持される場合があります。」[6] —

暗号化・データ分離・運用体制の説明は「公開セキュリティ白書(2024年10月)に基づきます」としています [5]。問い合わせ先について、よくある質問では「セキュリティに関するご質問や脆弱性のご報告は、公開セキュリティ白書に記載の[email protected]へお寄せください。」と案内しています [6]。表の右列の点は、問い合わせで確認してください。

よくある質問

ChatGPT に入力した情報は、漏洩しますか?

扱いは、使っているプランと設定によって異なります。法人向けの ChatGPT Business について、OpenAI は料金ページで「デフォルトではビジネスデータを学習に使用しません」と説明しています。ただし、学習に使われるかどうかは確認項目の一つです。保存と暗号化、社内での共有範囲、アカウントの管理、社内ルールもあわせて確認してください。

「学習に使わない」サービスなら、情報漏洩の心配はありませんか?

学習に使われないことは大事な条件ですが、それだけでは十分ではありません。入力した内容はサービス側に保存される場合があるため、暗号化や保存場所、社内での共有範囲、外部のAIサービスの扱い、社員の使い方のルールも確認が必要です。

社員が個人のアカウントで生成AIを使うのは、問題ですか?

会社として、どの情報が入力されたか、どの設定で使われているかを把握しにくくなります。業務で使ってよいサービスと、入力してよい情報を社内ルールで決めておくと、社員が判断に迷いにくくなります。

TANKA は、入力したデータを学習に使いますか?

TANKA はセキュリティページで「お客様のコンテンツを、出力を生成する当社のモデルの学習・再学習・改善に使用しません。」と説明しています。また「第三者のAIサービスには、該当するサービスの利用条件が適用されます。」としています。詳しくは https://jp.tanka.ai/security をご覧ください。

出典

確認日はすべて2026年10月17日です。

  1. 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日) https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/ 、別添1 https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf
  2. 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日) https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20260331_report.html 、本編 https://www.soumu.go.jp/main_content/001064279.pdf
  3. IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版 https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html
  4. IPA 中核人材育成プログラム 第9期生「生成AIおよびAIエージェントを安全に活用するための手引書」(2026年7月31日) https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2026/ai-security.html
  5. TANKA 公式サイト セキュリティページ(本文) https://jp.tanka.ai/security
  6. TANKA 公式サイト jp.tanka.ai/security(よくある質問) https://jp.tanka.ai/security
  7. TANKA 日本公式サイト https://jp.tanka.ai/
  8. TANKA 公式サイト memory ページ https://jp.tanka.ai/memory
  9. OpenAI 料金ページ(ChatGPT Business/Enterprise) https://openai.com/ja-JP/business/pricing/
  10. Notion 料金ページ https://www.notion.com/ja/pricing

更新日:2026年10月18日

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